近所の国のアリス
荊の森を抜けて、
陽の光が当たる場所へ出た。
山茶花に呼ばれるままに先へ進む。
森の先に見えたのは、
時間を止めてしまった遺物だった。
そこにあった物たちを
今でもありありと思い出せる。
藤棚も、UFOの形をした遊具も、滑り台も、
ずっと在り続けるのだと思っていた。
パンダと子鹿はいるけれど、
ラクダはいなくなった。
ただ、
山茶花の花だけは、毎年咲いてくれる。
夢とも感傷ともつかない
小さな旅から戻る。
そこもかつては
「小さな公園」と呼んでいた場所。
ここにはどんぐりの木があったんだ。
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